東野圭吾スペシャルドラマ「雪煙チェイス」

殺人事件の容疑者となった大学生が、
警察から逃走しながら「ゲレンデの女神」と呼ばれるアリバイの証人を探す物語。
75分二夜連続のNHKドラマ。

絶望的につまらない。

ストーリーは「自分の無実を証明するために、警察の追跡から逃げて証人を探す」というものだが、
主人公が逃げ回っている時間、真犯人も同じように逃走する猶予を与えていることになる。まずはいち早く警察に出頭し、当日の事情を話すべきだろう。

そもそも「自分でアリバイの証人を探す」という発想自体が理解できないし、
それこそ警察の仕事ではないのかと感じる。
さらに納得がいかないのは、最終的な解決において「ゲレンデの女神」が決定打にならなかった点。
結局、何のためにこれまでの時間を費やして逃走劇を見せられていたのか、徒労感しか残らなかった。

主人公は「お人よし」という設定のようだが、
全体的に自分勝手で、周囲の人に迷惑をかけ続けていく様子ばかりが印象に残る。

NHKドラマ全体の質を下げるような酷い出来で、非常に残念だった。

ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島

映画「ナルニア国物語」シリーズの第3弾。
異世界に迷い込んだ3人の子どもたちが、王子と一緒に「7本の剣」を探す航海に出る物語。
これまでのシリーズは未視聴であり、登場人物程度の知識で視聴。

明らかに話を詰め込み過ぎており非常に残念な出来。
特に脚本がイマイチで、本来の目的であるはずの7本の剣を集める動機が薄い。
終盤、残りの3本をまとめて手に入れてしまったシーンには思わず苦笑いしてしまった。

一つ一つのシーンが薄いうえに登場人物も不必要に多いため、
思い切ってさらに大胆にシーンを削るべきだろう。
制作側は子どもたちの成長を描きたかったのかもしれないが、
まるで「心変わり」かと思うほどのスピードで悩みや葛藤が解決していくため、
全く感情移入できない。

映像やファンタジーの世界観は素晴らしいにもかかわらず、
脚本の粗さで評価を下げてしまった惜しい作品。

合格にとらわれた私 母親たちの中学受験

わが子の中学受験を応援しすぎるあまり、
だんだんと教育虐待を行うようになってしまう母親を描いたコミックエッセイ。

ママ友グループの中で、子どもの学力が
自分自身のヒエラルキーに直結していく描写はあまりにリアル。
母親は、自分のプライドとエゴを守るために子どもに勉強を強要し、
成績が低いと厳しく叱りつけてしまう。
本人は応援しているつもりでも、
逆に子どものやる気を奪っていく様子がありありと見て取れる。

母親自身も「自分がおかしい人間になっている」と自覚していながら、
改めてどういう態度を取ればいいのか分からなくなってしまっていることが恐ろしい。
親のいざこざに巻き込まれながらも、
子どもたちが前を向いていることがせめてもの救いだった。

よくありそうな教育虐待の過程を追体験できる話だった。
このようにならないように意識していきたい。

千と千尋の神隠し

千と千尋の神隠し [DVD]
千と千尋の神隠し [DVD]
posted with AmaQuick at 2026.01.03
宮崎駿(監督)
5つ星のうち4.7
¥3,718

神様の住む世界に迷い込んだ少女が、
お風呂屋で働きながら、そこで出会う人々との交流を深めていく物語。
何度も視聴済み。

相変わらず、めちゃくちゃ面白い。
これまで見たジブリ映画の中で、一番素晴らしいと思う作品。

まるで10分ごとに話が切り替わっていくかのような展開は、
ジェットコースターに乗っているごとき衝撃を受ける。
これほど凄まじい世界観を作り出せることに、ただただ感嘆してしまう。

登場人物全員のキャラクターが立っており、
始めは恐ろしい印象を受ける湯婆婆も、
お客様や従業員を第一に考えている姿勢を端々から感じ取ることができる。
言葉や雑だが面倒見の良い先輩も見ていて気持ちがいい。

また、作画も素晴らしく、どのシーンも恐ろしいほど綺麗で、
これだけ描き込むのにどれほどの苦労があったのか想像もつかない。

世界観、脚本、演出のどれをとっても創作の教科書の様な作品。
一瞬たりとも退屈することがなく、強くオススメできる。

娘に死にたいと言われました 不登校の理由 (コミックエッセイ) 

突然不登校になってしまった娘と、その母親のやり取りを描いたコミックエッセイ。
この手の作品によくある「学校が悪く、それに立ち向かう」といった対立構造のストーリーではない。

なにごともなく生活をしていたところに、
突如娘から「死にたい」と言われた際の、親の慌ただしさはリアル。
「なぜそう思うのか」「どうすればいいのか」を親が必死に模索していく様子は、
読んでいて応援したくなる。

周囲の人たちも不登校の心当たりがなく、教師も助けようと努力しているものの、
うまく結果が出ないもどかしさが丁寧に描かれている。

途中で不登校になった回答も描かれるのだが、
本人としても良くわからず、
なんとなく言葉にできない自分の居場所のなさを感じてしまったことがうまく表現されている。
本人としても「このままではダメなこと」はわかっているのだが、
うまく行動ができず、このような場合は親はどのようにふるまうべきか、考えさせられる内容。
無理やりにでも学校に行かせるべきなのだろうか、と思うほど。

作品は、最後に一歩前に進んで解決に向かっているため、読了感は良かった。

火吐山の魔術師: ゲームブック

火吐山の魔術師: ゲームブック
代々木丈太郎(著)
5つ星のうち4.0
¥99

悪い魔術師を倒す勇者を描く物語を
いくつかのパラグラフにわけて読み進んでいく、ゲームブック形式の小説。
kindleのリンク機能を使って実現したもの。

小説としてのストーリーは正直期待外れだったが、
Kindleというプラットフォームでの新しい表現方法には強く感動した。

リンク機能を使って次のパラグラフへジャンプする仕組みは、
まるでノベルゲームを遊んでいるかのようにスムーズに読み進めることができる。
ただ、ゲームオーバーになった際に直前のパラグラフへ戻る機能がないため、
どのパラグラフから遷移したかをメモしておく必要があり、その点は少々手間に感じた。

とはいえ、既存のシステムを想定外の方法で活用した表現を体験できるのは非常に面白い。
値段も手頃なため、創作者の方は一度試してみることをお勧めする。

時の迷路 ~恐竜時代から江戸時代まで~ (迷路絵本) 

いくつもの時代を描いた絵本の迷路作品。

綺麗な絵柄で、ただの迷路としても面白いが、
それぞれのページに隠された絵があることも特徴。
一度迷路を解き終わった後でも何度でも楽しめる内容になっており、
まるで「ウォーリーを探せ」を読んでいるかのようだった。

恐竜時代から江戸時代までのストーリーを追体験でき、
日本の歴史を勉強するにもいいかもしれない。

モンスターマザー―長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い―

不登校で自殺をした生徒の母親から学校側が訴えらえる裁判の顛末を描いた
ノンフィクション小説。

凄まじい。

いわゆるモンスターペアレントと教育現場とのやり取りが描かれるのだが、
他人にひたすら迷惑をかけ続け、
虚偽の主張し続ける母親に恐怖を感じる。
こういう人に日常で出会ってしまった場合、
どのように接すればいいかわからない。
自殺した生徒が不憫で仕方がない。

思い通りにいかない息子を追い詰めて自殺をさせてしまった後でも、
息子をだしにして教育現場に攻撃を仕掛ける様子は、
ホラー小説よりも恐ろしい。

学校側・他児童の保護者が一枚岩となり裁判に臨んでいくため、
『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』よりも、
まだ安心して読むことができた。

でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相

教師が生徒に対していじめを行ったとされる事件
『福岡市「教師によるいじめ」事件』の顛末を描いたノンフィクション小説。

ある保護者からの身に覚えのない抗議をきっかけに、
普通の教鞭を行っていた教師が免職となっていく様子が恐ろしい。

周囲のメディアも過熱報道で、教師が一方的に悪者であると決めつけ、
また、周りの人も保護者に関わりたくなく、
だんだんと孤立していく様子もつらい。
教師が冤罪であることをわかっている前提での話
となっていることがまだ救いのところ。

教師という仕事の困難さが改めてわかる小説。
虚言癖のあるモンスターペアレントの対応が必要となることについて、
この教師の運が悪い、ということで終わらせずに、
学校や教育委員会が守っていく必要があると感じた。

地雷グリコ

地雷グリコ (角川書店単行本)
青崎 有吾(著)
5つ星のうち4.5
¥1,732

勝負強い女子高生が
特殊ルールのある「だるまさんが転んだ」や「グリコ」などのゲームで戦っていく話。

相手の裏をかくような騙しあいのゲームをしていくのだが、
主人公の戦略がしょうもなく姑息でイマイチ。
5つのゲームのうち、最後のゲームは見ごたえがあったが、
ラノベ的な文体で全体的に幼く、小説として期待外れの出来だった。