すずめの戸締り

椅子になった青年を助けるために猫を追いかけては、
その行く先々で、災害の原因となる扉を閉めていく話。

震災の色が強く、それらを形ある怪異と描く。
この発想は素晴らしく、動物たちは反応するものの人間にだけ見えないものとして表現することは見事で
現実でもこうなのではないかと考えてしまう。
映像もきれいで、それが一層不気味さを引き立てている。

ただ、残念ながらストーリーは私には合わなかった。

主人公の自己中心的な考えや行動が目立ち、
行く先々でさまざまな人に助けられながらも、迷惑をかけていく様は肌に合わなかった。

猫を追いかける方法も全く計画性がなく、
Twitterの投稿やニュースを見て次の場所を探していくのは運が良すぎるだろう。

また、そもそも主人公が一番初めの騒動を起こさなければ、
何も起きていなかったはずであるため、その部分を考えるとモヤモヤしてしまう。

猫が何をやりたかったのか不明であり、
なぜ主人公たちを助けるのか、なぜ青年を椅子にしたのか、なぜ最後に石に戻ったのかが読み取れなかった。
主人公が、だんだんと猫に対して湧いていると思っていたのだが、
終盤、青年の身代わりに猫が石となり、それで果たしてハッピーエンドで良いのかと思ってしまう。

また、青年の夢が、主人公のおかげで壊されてしまったことに、青年が憤りを感じるのかと思っていたのだが、
なぜか、最終的に主人公に恋をしているような描画があり、全く感情移入ができない。

君の名はや天気の子は非常に満足のいく作品だったため、
それと比較すると残念だったデキ。

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身 ブルーレイディスク [Blu-ray]
福山雅治(出演), 柴咲コウ(出演), 北村一輝(出演), 松雪泰子(出演), 堤真一(出演), 西谷弘(監督), 東野圭吾(原著), KOH+(その他), 亀山千広(プロデュース), 福田靖(脚本), 福山雅治(Unknown)
5つ星のうち4.3 5つ星のうち4.3

女性刑事が、大学教授に推理の助けを負い、殺人事件を解決しようとするもの。
ドラマ版の続編であり、そちらは未視聴だが、本作品にて単体で楽しめるようになっている。

現場に遭遇した数学教師が、事件を隠蔽しようとするところから話が始まるため、
視聴者には、犯人が誰なのか、初めからわかっているのだが、
トリックや事件の状況が断片的に明かされていく。
何が起こったのかが、終盤で一気に展開され、
カタルシスを感じることができる。

ミステリー作品の一種であるが、このような見せ方もありなのかと勉強になった。

各俳優の演技も良く、特に、数学教師の何を考えているのかわからないところが、とても不気味で怖い。

おススメ。

ぼっち・ざ・ろっく!<全12話>


ギターが上手なものの、対人関係に極度に難のある女子高生が、バンドを始める話。

主人公が妄想癖を持っており、周りを無視して奇行に走ったり奇声をあげたりする描画が多く見られる。
もし、一緒にいたら、迷惑極まりなく、たまったものではないだろう。
周りのメンバーが、ここまで主人公に優しく気を遣う理由もわからない。

文化祭も、せっかく全員で準備したにもかかわらず、
主人公のせいでぶち壊しになり、本当に最悪な印象を受けた。
これについても、メンバーから何もお咎めがなく、感覚に違和感がありすぎる。

巷では評価されているが、私には合わなかった。

チェンソーマン<全12話>


チェーンソーの怪人に変身できる青年が、悪魔と呼ばれる異形と戦う話。
原作の漫画は読了済み。
ストーリーは原作そのままで、サムライソードを倒すところまでが描かれる。

原作同様に面白い。

主人公の異常性と、予想できないストーリーで、どんどん先が見たくなる。
原作と違い、絵がとてつもなく綺麗であることも特徴で、それだけで満足できるデキ。
戦闘描写の質が非常に高く、縦横無尽に動き回るキャラクターはもちろんのこと、
血しぶきや建物の残骸なども丁寧に描かれる。
どれだけの時間をかけてアニメーションを作ったのかを考えると震えてしまう。

ぜひ、続きを見たいと思う作品。

トリガー<全5巻>

トリガー(1)
トリガー(1)
posted with AmaQuick at 2023.01.01
武村 勇治(著), 板倉 俊之(著)
5つ星のうち4.3 5つ星のうち4.3

各都道府県に一人ずつ、「トリガー」と呼ばれる、銃を持ち発砲を許可された人物が配備された日本の話。

面白い。

それぞれのトリガーは己の悪と認識したものを、容赦なく殺害していく。

各話で主人公が異なる、オムニバス形式をとっているのだが、
それぞれの主人公で異なる信念があり、その信念のものに発砲していくのが楽しい。

また、トリガーだけでなく、トリガーの周りの環境の商売や、殺害された遺族などにも焦点が当てられていく。
この制度が発令されたら起こり得そうな負の出来事も存在するため、話に説得力があった。

単なる勧善懲悪ではないところが、見どころともいえる作品。

蟻地獄<全4巻>

蟻地獄 1
蟻地獄 1
posted with AmaQuick at 2023.01.01
板倉俊之(著), 武村勇治(著)
5つ星のうち3.4 5つ星のうち3.4

借金を返済するために、死体探しに翻弄する青年の話。
お笑い芸人のインパルスの板倉が原作を書いたもののコミカライズ版。

面白い。

あの手この手で死体を探そうとするものの、なかなか都合よくいかない展開が続く。
それでもどうにか知恵を振り絞り、何とかしようとしていく様は
スピード感にあふれ、一気に読むことができる。

予想外なストーリーと、主人公の知能戦が見たければぜひ。

十二人の死にたい子どもたち<全3巻>


自殺するために集まった12人の少年少女が、自殺現場で死体を見つけるサスペンス。

パーティゲームの人狼のように、参加者で話し合いを行って、多数決で方針を決めていく。
謎だらけだったところから、だんだんと全貌がわかっていくのは面白い。

キャラクターが多いため、初めこそは混乱したが、話し合いを通じて、
だんだん、それぞれ性格が浮き彫りになっていくので、最後には整理して読むことができた。

トリックを理解するには、それぞれの台詞の細部まで読み込む必要があるが、
そこまでしなくても、なんとなく楽しめる作品。

サスペンスであるものの、「何が起きていたのか」というところに焦点が当てられ、
参加者に絶対的な悪が存在しないため、気軽に読むことができた。

角川まんが学習シリーズ 日本の歴史<全16巻>


縄文時代~令和にかけての日本史を漫画としてわかりやすく表現したもの。

とても面白かった。
小学生~中学生程度をターゲットとしており、その分わかりやすく描かれている。
肩肘を張らずに、とっつきやすく学ぶことができた。

「いろいろな政策があり、その成功失敗を踏まえて、次の政策がなされていく」という、骨太の大河ドラマを感じることができる。
短期間で日本史を理解することで、それぞれの出来事が連続して、大きな流れができていることがわかる。
「日本史」という分野の面白さを、改めて感じることができた。

単語は頭に残っているものの、具体的にどのような意味を持つのか、あいまいだったところも、理解し直すことができた。
中学~高校で学んだ知識を、一括で学び直すことができ、とても良かった。


リングフィット アドベンチャー


筋トレをすると魔物にダメージを与えるアドベンチャーゲーム。
ゲーム内時間32時間、現実時間1年半ほどでストーリーモードクリア。

とても面白い。
ニンテンドースイッチのコントローラーを、専用のコントローラーにくっつけ、
そのコントローラーを引っ張ったり、押したりして筋トレを行う。
そのゲームスタイルから、とんでもなく斬新。
これが令和のゲームかと、心から感動した。

とても親切なゲーム設計であり、一にも二にも、プレイヤーが筋トレを続けられるようにあらゆる部分で工夫されている。
敵を倒す戦闘パートと、膝を揺らしたりスクワットしたりして進むアクションパートの塩梅が見事。
飽きずにプレイをすることができる。
また、レベルアップをすると得られるスキルポイントも、好きなように割り振ることができ、次に何をしようかワクワクする。
敵キャラクターや味方キャラクターの性格もたっており、先が気になるストーリー。

一日長くても30分程度のプレイであり、定期的に、休憩を促す作り。
本当にプレイヤー第一に考えれていて、ゲームクリエイターとしての器の広さがうかがえる。

一時期やめてしまったが、また定期にてきに起動したくなる魅力があり、
結局1年半かけて、最後までクリアすることができた。

ゲームに関係する人ならば、ぜひプレイしてみてほしい作品。
とても丁寧で、参考になることが多いだろう。

新装版 殺戮にいたる病

新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)
我孫子武丸(著)
5つ星のうち4.2 5つ星のうち4.2

女性を次々と殺害する犯人と、その周りの人物を描く小説。

同じ話を、「犯人視点」「母親視点」「探偵視点」の3つの視点で話が進んでいく。
そのため、一番初めから、犯人が誰なのかがわかるのが特徴。

小説のトリックが優秀であり、ある意味、ミステリー小説とも称することができるだろう。
同じ話を別の視点で描いてく手法に、最後まで読み終わった後、
このような小説の書き方もあるのかと唸らされた。

面白かった。