」カテゴリーアーカイブ

最後の伝令

最後の伝令(新潮文庫)
筒井 康隆(著)
5つ星のうち4.7 5つ星のうち4.7

筒井康隆の短編集の一つ。

他の短編集よりも「死」の表現に重きを置かれている作品が多い。
相変わらずの、グロテスクな表現のオンパレードであり、
読んでいてとても興奮する。

「九死虫」という作品が、とても心に残っている。
九回死ぬ、ということが起こる場合に、どのような文明に進化するのか、
死ぬ前に何を思うのかが、その着眼点が新鮮でとても面白かった。

短編集のため、一つの話をすぐに読み終わることができ、
普段、小説を読みなれていない人でも、簡単に手を出すことができるだろう。

幼年期の終り

幼年期の終り
幼年期の終り
posted with AmaQuick at 2022.11.13
アーサー C クラーク(著), 福島 正実(著), 正実, 福島(翻訳)
5つ星のうち4.4 5つ星のうち4.4

突如地球に宇宙人が到来し、地球人と交流をするSF小説。1979年に書かれたもの。

宇宙船で到来した宇宙人は、地球人とは比べ物にならない科学力を持っているものの、
よくあるSFとは違い、一切の侵略活動を行わないことが特徴。
宇宙人の出した指示により、どんどん人類全体の社会が豊かに、安全になっていく。
その描画が綿密に書かれ、実際にあったらこのようになってしまうだろうと、思ってしまう。

また、宇宙人は秘密主義を貫いており、宇宙人の正体がわかる中盤、その目的がわかる終盤と、
少しずつ情報が小出しにされていく。
そのもどかしさの塩梅もよく、どんどん続きが気になってしまう書き方。

ここまではっきりとしたSFというものを今まで読んだことがなかったが、
有名なだけあり、面白く参考になった。

スウガクって、なんの役に立ちますか?:ヘタな字も方向オンチもなおる!数学は最強の問題解決ツール

実生活で発生する問題に対して、数学の面から解決方法をアプローチする本。

これまでに学校で学んだ数学の知識が、
実生活において、このように生かせるのかと感心してしまった。

実際の語れる知識は大学レベルの数学であるのだが、
問題の例が身近でありイメージしやすいものと、非常に柔らかい文体のため、
理解できなくても雰囲気でなんとなくわかり、中学生程度でも読み進めることができる内容である。

知識を詰め込むための実用書というものではなく、
あくまで、雑学として数学の面白さを知るための読み物。

徹底攻略Java SE 11 Silver問題集[1Z0-815]対応

徹底攻略Java SE 11 Silver問題集[1Z0-815]対応
志賀 澄人(著), 株式会社ソキウス・ジャパン(編集)
インプレス (2019-10-18T00:00:01Z)
5つ星のうち4.4
¥7,607 (コレクター商品)
システムエンジニアの資格の一つである、「Java Silver」の問題集。

「配列」「インスタンス」といった章ごとで問題が掲載されている。
解説のページも分厚いが、そもそものJavaの基礎を知らない人は
これだけでは足りないので、勉強には、もう少し優しい入門書も併用が必要な印象。

試験で実際に出される問題と、本書で同じ問題が何個か掲載されていたため、
この問題集の繰り返し解き、9割ほど正解ができるようになれば、合格ができるだろう。

赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ1―(新潮文庫)

赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ1―(新潮文庫)
モンゴメリ(著), 村岡花子(翻訳)
新潮社 (2008-02-25T00:00:00.000Z)
5つ星のうち4.4
¥781
ある孤児の少女が老兄弟に引き取られ、その町での暮らしを描くもの。

面白い。
孤児院育ちのアンが非常にかわいらしく、
始めは厄介に思っている人々がだんだんと心を開いていくところが魅せる。
老兄弟の性格も愛情にあふれており感情移入しやすい。

おしゃべりで、想像力豊かであり、元気でせわしないアンの性格が始終描かれるのだが
その表現がとても上手く、幸福そのものである感覚が直接心に響いた。
また、読んでいくうちに、この物語は少女の夢物語ではなく
少女から女性に変わっていく成長だった、ということが伺えた。

自動文学の名作として知られる作品だが、期待通りのいい作品だった。

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話
晶文社 (2019-07-26)
売り上げランキング: 5,595
 
何も行わなくただそこにいるだけ、というサービスを行っている男性の体験をまとめたもの。

何も表現をしない男性に対して、意外と需要があることを驚かされる。
さまざまな依頼者がおり、十人十色な依頼は読んでいて面白い。

当初は人数合わせなどを考えていたようだが、
話を聞いてほしい、何かをするから見ていてほしいという、
何もしなくとも、他人にとっては原動力を生みだす手段になりえると勉強させられた。

スッキリわかるJava入門 第2版 (スッキリシリーズ)

スッキリわかるJava入門 第2版 (スッキリシリーズ)
中山 清喬 国本 大悟
インプレス
売り上げランキング: 576
 
プログラム言語であるJavaの入門教本。

大学の教本のように文法と例題コードが書かれているだけ、というわけではなく、
複数のキャラクターが会話形式で進んでいくのが特徴。
たとえ話が上手であり、言語を扱う上での考え方が理解しやすい。

例として出されるコードの内容やその解説もわかりやすく
自分で複写して実行しようとするモチベーションも下がらなくて済んだ。

今までJavaに触ったことがなかったが、本書で基本的な構文は一通り理解できた。
わかりやすく、入門として優秀であろう本。

夢から醒めた夢

冒険配達ノート 夢から醒めた夢 (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店 (2012-10-01)
売り上げランキング: 171,580
 
幽霊と知り合った女の子が、一日だけ生死の立場を入れ替わる話。

初めから奇妙な世界観で、
怖いもの見たさで先を気にさせる展開が続き、
一気に読むことができた。

ホラー要素を含みながらも、
話の中心軸は、家族の愛情や人を信頼する大事さ、といったことであり、
読み終わった後、温かい気持ちになれる作品。

小説 金田一少年の事件簿(3) 電脳山荘殺人事件

小説 金田一少年の事件簿(3) 電脳山荘殺人事件 (Magazine Novels)
講談社 (2013-04-19)
売り上げランキング: 14,405
 
オフ会として冬の山荘に集まった7人の男女が殺人事件に巻き込まれる話。

めちゃめちゃ面白い。

インターネットを通じて知り合った登場人物たちであり、
お互いの外見や情報を知らないという奇妙な舞台で起こる事件。
トリックも面白く、犯人の動機にもしっかり感情移入できて良い。

初めて金田一の小説版を読んだが、
マンガでは表現できない手法をとられており、
解答編まで読んだときに思わず唸ってしまうデキ。
読者までも騙すような書き方はさすが金田一というところ。

オンラインチャットの闇や矛盾といったところが書かれているのだが、
これががまだパソコンが普及していなかった
1996年に書かれたというのが驚きである。

マンガ版の金田一が合わなかった人もぜひ読んでほしい作品。

イリヤの空、UFOの夏 (電撃コミックス)<全4巻>

イリヤの空、UFOの夏 1 (電撃コミックス)
秋山 瑞人
アスキー・メディアワークス
売り上げランキング: 120,620
 
手首に鉄球が埋め込まれた少女との一夏の関わりを描くSFライトノベル。

私がライトノベルを普段読まないからかもしれないが、全体的にイマイチ。

とにかく説明がまどろっこしくテンポが悪い。
数行で説明できる内容をダラダラと書き綴られ、
なにか思わせぶりなのだが、結局何もないまま終わる。

コミュニケ―ションに難のある少女との恋模様を描かれるのだが、
主人公が自分勝手で頭が悪く、感情移入できない。
終わり方もこれで良かったのかと疑問視する。

時間をかけて練り上げた伏線になりそうなエピソードが沢山あり、
始めのほうはどうなるのか読んでいてワクワクしたが、
結局生かしきれないままで終わらせたような印象。
無駄なキャラクターやイベントを省き、もっとサクサク進めて欲しかった。