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リアル脱出ゲームノベル Four Eyes~姿なき暗殺者からの脱出~

ある探偵に、連続殺人犯からの警護を依頼されるところから始まる推理小説。

面白い。

謎解きゲームを企画する団体「SCRAP」が出版している小説であり、
ところどころに挿入される謎が、
読者も解きやすいように配慮されていることが特徴。
リアル脱出ゲームらしく、謎が裏の意味を持っており、
解けた後も、驚くような仕掛けが張られて読み応えがある。

やや説明口調になる物語には違和感はあったが
小説でないと成り立たないような謎解きで質も高く、
良い推理小説だった。

眠れなくなるほど面白い 図解 睡眠の話

睡眠について、
どのような効果があるかといったことや、気を付けるべきことを
説明した本。

見開き右側が文章で、左側がその文章を解説した図、となっている構成となり、とても読みやすい。
今後の仕事の参考になるくらい、図が非常にわかりやすくて良い。

早寝早起きが良い理由が、
マウスを使った実験や、人間のホルモンに関連して、
医学的な理論でデータを用いて示されており、説得力がある。

睡眠の量よりも質を高めることが第一優先であり、
そのために何に気を付ければよいかも具体的に書かれていて、
満足感のある一冊だった。

漠然とやったほうが良い、と言われていることを
理論づけて改めて理解できた本。

クラインの壷

1989年に書かれた小説で、主人公が、特殊な装置を使い、
公開前のバーチャルリアリティのゲームをテストプレイする話。

イメージとしては、20世紀少年や名探偵コナンの「ベイカーストリートの亡霊」のようなもので、
意識が、現実とほとんど変わらない疑似現実世界にダイブするものとなる。

今から30年前以上に書かれたSF小説ということで、
多くの方に作者の先見の明を評価されているようだが、
本テーマであれば、十分にあり得るストーリーでそこまでの驚きを受けるものではなく、
また、設定や世界観の感激も薄かった。

1時間半ほどで読める小説のため、
過去のSFの流行を知りたいならば読む作品。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
アンディ ウィアー(著), 小野田 和子(翻訳)
5つ星のうち4.7
¥990

記憶喪失の男性が、宇宙船で目覚めるところから始まるSF小説。

非常に面白い。

科学知識を総動員して、少しずつ状況がわかっていく序盤からすさまじく、
読んでいてワクワクが止まらなくなる。
上巻の中盤から大きな場面転換があるが、
お約束のような展開も、科学的な設定で説明・考察があり唸らせる内容。

骨太な設定と世界観を味わえる、
事前情報を知らないまま読めて心から良かったと思える作品。
良いSF小説だった。
強くオススメ。

【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!

フランスの経済学者であるピケティが書いた「21世紀の資本」に描かれた、
それぞれのグラフ図の解説をする本。

様々なグラフが紹介され、内容の理解が追い付かなかったが、
最終的に言いたいことは書籍後半の20%にまとめられている。

富を持っているものが資産を稼ぐスピード(r)と、
労働として資産を稼ぐスピード(g)の比較をすると、
これまでの歴史を踏まえて、
「r > g」という不等式の通り、gはrを超えることができないため、
経済の格差は広がる、ということを理解できた。

資本主義の原則を、データによって裏付けされ、
資本を作ることの重要性を再認識できる本。

星の王子さま

星の王子さま
星の王子さま
posted with AmaQuick at 2024.06.23
サン=テグジュペリ(著), 浅岡 夢二(翻訳)
5つ星のうち4.3
¥165

砂漠に不時着したパイロットが、他の星から来た少年と交流する話。

序盤は「不思議な国のアリス」を思わせるような、
会話のかみ合わせが発生しないシーンが続き、
読者が置いていかれて、退屈で不安になる内容。

中盤からの、王子の星巡りの旅の話が始まるところから
ようやく物語となり、それぞれの話もテンポよく進んでいくため安心した。

ただ、スピリチュアルや自己啓発という内容を伝えたい本なのだが、
それぞれが薄っぺらく感じてしまい、
期待していたほどの内容ではなかった。

短編にこだわらず、このジャンルの物語を知りたいのならば、
「アルケミスト 夢を旅した少年」もお勧めする。

東京貧困女子。―彼女たちはなぜ躓いたのか

東京に住む貧困層となる女性たちを取材し、
彼女たちが、どのような経緯で貧困に至ったのか、どのように生活をしているのかを説明した本。

もともとの家庭環境で貧困が遺伝したケースももちろん、
日常的に普通だったところ、離婚や病気などで、いきなり生活が変わった事象などが
次々と説明をさせる。

決して高望みをするためでなく、
生きるために、普通の学生生活を送るために、しょうがなく風俗などを選択するしかない
状況に陥っていることがわかる。

陥る原因が決して珍しいことではなく
一度貧困層となると、そこから戻ることがとてつもなく難しいことが、
実体験ベースで説明されるため、非常に怖くなる内容。

人生がもう詰んで救いがなく、絶望の淵にいる女性の話だけの内容となるため、
読むことには覚悟が必要のため注意。
知らなかった世界を知ることができる本。

本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式

作者が取材をもとに、貧困がどういった影響があるかを説明する本。

ターゲットを高校生程度にしている本であり、
わかりやすい文体で書かれて手に取りやすい。
数字を使った表現や、作者の取材を通した説明で内容に説得力がある。

国レベルでの貧困だけでなく、
日本国内での貧困についても書かれており、
これまでに意識していなかった問題を知ることができる。

貧困層がどのように生活をしなければならないのかが説明され、
正しい教育がなされていないため、そこから抜け出すことが難しく、
さらに次の世代の貧困へと連鎖していくことが理解できた。

貧困状態にいるからこそ、犯罪に手を染めなければならない経緯が、
確かに納得できるものであった。

普段考えない事柄を意識でき、新しい価値観に触れるきっかけとなる本だった。

自分をもっと好きになる 【ハピかわ】かわいいのルール

自分をもっと好きになる 【ハピかわ】かわいいのルール (池田書店)
双葉 陽(イラスト), はぴふるガール編集部(編集)
5つ星のうち4.4
¥850

小学生女子をターゲットにした、日常で大事なマナーや立ち振る舞いを紹介したもの。

とてもわかりやすい。

「漫画形式のストーリー」と「意識すべき立ち振る舞いや心構え」が交互に繰り返されていき、
最後まで飽きずに読むことができる。
「ステキ女子計画」を進めていく主人公の頑張りに、共感を持つことが出来て良い。

メインコンテンツであるノウハウが、カラーのイラストでわかりやすく描かれている。
実施すべきことが精神論ではなく、非常に具体的に書かれており、
すぐに実施できることばかりで説得力もある。

ファッションや髪型、可愛い立ち振る舞い、といった女子独自の視点も解説し、
また、あまり他人に言えないような、体のことや感情の悩みについても
アンケート形式という形で客観的に紹介され、
様々な人がいるということに、納得できて安心する内容。

絵も可愛く、内容も非常にわかりやすい良い本だった。

母という呪縛 娘という牢獄

「滋賀医科大学生母親殺害事件」という実際に2018年に発生した事件で、
加害者が、なぜ殺人事件を行ったかの記録をまとめたもの。
ノンフィクションの作品。

実母をバラバラにして殺害した事件であるが、
加害者の女性が、幼いころから教育虐待をされてる様子が、
当時のやり取りや関係者の取材を通じて描かれ、
非常に境遇が悲惨であることがわかり、同情してしまう。

Lineの文体や取材の様子で、加害者が知的であることも垣間見えるのだが、
そういった方であっても、
事件を起こしてしまう状況や家庭環境が怖く感じた。

親の度が過ぎる教育は、その子供を不幸にするだけだと、
改めて考えさせられたものだった。